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​Indigo

自然と調和する
『天然藍灰汁発酵建』

「天然藍灰汁発酵建」は江戸時代に確立された藍染の手法で、本藍/正藍と呼ばれます。化学薬品は一切使わず、2種類の発酵を経て深い青を生み出します。1つ目の発酵は藍の原料、蓼藍(たであい)の生葉から蒅(すくも)を作る時。

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徳島で育てられ、収穫された蓼藍(たであい)は藍師により、100日以上をかけて乾燥、発酵され「蒅(すくも)」と呼ばれる状態に仕上げます。

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発酵の最中はアンモニアガスが発生し、温度は70度ちかくまで上昇する過酷な状況の中、藍師は経験を活かし、水遣りと天地返しを繰り返しながら発酵に適した環境をつくりあげます。葉の状態を見極め、適切な手入れを行い100日をかけて作り上げる藍は伝統と職人の技が詰まっています。(画像提供:有限会社新居製藍所)

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​この蒅(すくも)を使用し当工房「杏や」で染め液にします。この染め液を作る工程は「藍建て」と呼ばれ、ここで2つ目となる発酵を行います。蒅(すくも)は色素を分解した固形の状態です。その色素を水に溶かすため、灰汁(アルカリ性)の中で発酵させ、微生物の働きにより還元します。大切なのは微生物の状態を保つこと。適切な温度と、pH(ペーハー)を管理し、毎日同じ時間にかき混ぜます。藍建てから数日経つころ、表面に金紫色の幕がうっすらと貼り、藍の華と呼ばれる紫紺色の大きな泡ができます。撹拌すると液は茶色、表面は黒紺色に変わるようになれば染め時です。

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ここから、いよいよ染める工程に入ります。建てた藍の染め液に、ゆっくりと糸や布を浸け、一定の時間で引き揚げ絞ります。空気に晒すことで緑に発色し、液を絞り水に晒すことで青に変わります。意図する色が得られているか緊張する瞬間です。浸けては絞るを繰り返すことで濃淡を表現します。染め液の管理は、日々かかせません。液面に浮く藍の華の泡の様子、液の香りや味でその日の液の様子をうかがい、染められるかどうかを判断します。これはpHや温度の数値だけでなく、これまでの経験にたよる部分でもあり、微生物という生き物の力を借りた製法の特徴です。染められると判断した場合も、1日の染められる量を決め、藍の機嫌を損ねないようにしています。このように、天然藍灰汁発酵建の藍染は、植物、微生物と人がつくりあげる、自然の美です。杏やでは、日々藍と向き合い、共に生きながらものづくりをしています。

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